第12章 未来からの落とし物/徳川家康
「凛も……」
「いたっ……」
軽く凛のおでこを指で弾く
「三成なんかに口説かれてるんじゃないよ」
「口説かれるわけないじゃん……ねえ?三成くん?」
「私が本気をだしたら家康様に申し訳ないので」
「……なに?俺に勝てるとでも思っているの?」
「そんなめっそうもない。私のような無粋な男には凛様のような方は勿体ないですから」
口では下手にでているけど瞳は挑戦的に俺を見据えてくる三成
ムカつく
三成が本気で凛の事を奪いにくるなら俺だって本気で相手をする。
でも、三成は本気で俺に立ち向かって来ないからタチが悪い。
(俺の一人相撲のような気分にさせられるから)
「凛、行くよ」
「え?」
強引とは思ったけど俺は凛の腰を抱いて歩きだした。
三成に見せつけるように__
「三成くん、またね」
振り返り三成に手をふる凛は、俺の気持ちも三成の気持ちもわからずに無邪気に笑っている。
三成のなんかの気持ちは気付かなくてもいいよ
でも、俺の気持ちくらいは察してほしい
(鈍い凛にはわからないか……)