第8章 甘いのを頂戴/徳川家康
「家康……?」
何もわかっていない凛は、戸惑いながら俺の名前を呼ぶ。その声さえ愛おしくて理性が飛びそうになる。
凛に料理を食べさせている時からずっと我慢していたんだ。
小さな口を一生懸命に動かして食べている凛の姿は、小動物のような愛らしさがある。
そんな凛を見ていると抱きしめたくなる衝動に駆られるし、そんな愛らしい姿を他の男どもに見せたくない
(だから人前で凛を甘やかすの嫌だったんだよ)
「なんで俺が凛を甘やかさないか、知ってる?」
「ん? 私がしっかりとするように……でしょ?」
やっぱり……わかってなかったみたいだな
思わずムカついて凛の鼻を軽く抓んでしまった。
「?!……いたっ」
「男は好きな女を甘やかせたいんだよ」
「え?そうなの?じゃあ家康も?」
「……当たり前」
俺がそう言うと途端に顔を崩して照れ笑いをして
「家康、大好き」
俺に抱きついて胸元に顔を埋める凛。
そんな事をされたら
__どうなるか知らないでしょ?
一生懸命につなぎ止めていた理性が音を立てて崩れていく
凛を抱きしめてそのまま横抱きにして凛の部屋へと急ぐ。