第4章 物の怪/明智光秀
時刻はそろそろ真夜中
私の感覚でいったら午前1時をすぎたところ
そんな遅い時間に私と光秀さんと2人っきり
物の怪から命を守るため結界を張ってくれるんだけど……
「準備はいいか?」
「……やっぱり……脱がなきゃ……だめ?」
「当たり前だろ」
至って冷静な光秀さんは当然のように返事をしてくる。
覚悟を決めなくっちゃいけない__
そう思っているんだけと、なかなか決断が出来ない。
「安心しろ」
「え?」
「お前の貧相な体を見ても欲情なぞしない」
「っ……」
それはそれで酷いと思うんだけど
欲情とかの問題じゃなくて、私が恥ずかしくて死にそう。
いくら助かるためとはいえ、男の人の前で裸になるなんて__
光秀さんが教えてくれた結界のやり方
それはまず、部屋の4隅に盛り塩を置く
(これは特に問題ない)
次が問題なのよ
私の身体すべてに御経を書いていく事
墨ではなくて御神酒をつけた筆で書くみたい。
この状態で一晩無事に過ごせたら物の怪は、私に憑くことは無くなるらしい。
助かりたいのなら潔く裸体を光秀さんに披露すれば良いだけの話
でも!
そう簡単に出来る事じゃないわよね?
死にたくない
でも、裸体を披露するのは死にそうなくらいに恥ずかしいわけで……
「助かりたくはないのか?」
「助かりたいに決まっているじゃないですか」
「では覚悟を決めるといい。但し……」
「ん?」
「時間があまりないがな」
丑三つ時までに結界を完成させないと意味はないらしい。