第4章 物の怪/明智光秀
「聞いてやるから言ってみろ」
「言ったらバカにしますよ?」
「今更だな__俺がお前の話をバカにしないで聞いた事があったか?」
「……ないです。いつでもバカにしてますよね?」
「そろそろ慣れた頃だろ?」
「慣れませんよっ」
いつものように軽口をたたきあっているだけなのに、なぜか私の心は浮き足立ってしまう。
「凛……」
「っ……」
不意に光秀さんの顔が間近になってドキッとしてしまう。
細くて長い指が私の目の下をなぞっていく
それがものすごく艶っぽくて……
睡眠不足の頭には刺激が強すぎて、頭が惚けてしまいそう
「目の下にくまが出来てるぞ」
「っ……!!」
「可愛い顔が台無しだ__眠れないくらいに悩んでいるのなら言ってみろ」
冗談とも本気ともいえる言葉にドキドキと心臓がうるさい。
(もちろん、可愛い顔が冗談で悩んでるが本気……だよね?)
「気のせいかと思うんですけど__」
バカにされるのを覚悟で私は、光秀さんに不可思議な夜の話をしてみた。
話終えると光秀さんは真面目な顔していて、私が想像していた反応とは違う。
「憑かれているな」
「え?」
「物の怪の類だと思うが……このままだと命を取られるかもしれん」
……嘘でしょう?