第3章 重ねた身体/顕如
信長の気まぐれによって安土城にて生活をしている凛ではあったが、信長からの寵愛など受けてはいない。
だが、信長の気に入りと思われている凛に近づいてくる者はいない。
無駄に信長の怒りを買いたくはないのである。
誰にも相手にされず孤独の中で日々を暮らしていた凛
そんな時に噂で聞いた顕如のこと
信長への恨みをはらすべく命を狙っていると
その事を聞いた凛は、何故か親近感のようなものを感じていた。
凛自身、信長に恨みがあるわけではないが、扱いに関しては少しばかりの不満はあった。
信長の気まぐれによって安土城に身を寄せてはいるが、寝食が保障されているだけ
誰からも相手にされなければ、ただのお飾り人形のような物
それでも頼れる人がいない凛は、信長の気まぐれに付き合うしかない。
でも、今は違う
どんな理由であれ、信長に敵対している顕如は凛を必要としてくれている。
それが嬉しくて凛は、陵辱されながらも逃げる事が出来ない。
辛いのは抱かれ続けて身体が悲鳴をあげているだけ
心はなぜだか満たされてしまう。
「なぜ?」
「ん?」
「なぜ……信長様に恨みを?」
「……お嬢さんに話してもわかるまい」
冷たく微笑むその瞳の奥は、悲しげに揺れている。
どうしてそんなにも悲しそうなの?
憎しみに支配されているわけじゃないの?