第28章 うたかたの夢/上杉謙信
目覚めても凛は俺の目の前にいる。
いつものように俺を包み込むような笑みをたたえて、柔らかな膝が俺の頭を包み込んでいる。
凛がいなくなる前の平凡で幸せだった日常を取り戻したようだ。
「謙信様……?どうしましたか?」
「夢じゃないのか?」
「?……くすっ……謙信様ったら寝ぼけてます?」
「……凛……なのか?」
「むっ……!どちらの女と勘違いしてるんですか?」
拗ねたような瞳が俺を見つめてくる。
なんとも愛らしい表情に頬が緩んでしまう。
「凛……俺に口付けしろ」
「……え?」
みるみるうちに頬を染めていく凛が愛おしくて気が狂いそうだ。
2度と触れ合う事が出来ないと絶望していた俺。それはすべて俺の見た悪夢だったのか。
「口付けしろと言っているんだが?」
「恥ずかしい……」
恥ずかしがる凛の首を引き寄せ、唇を軽く合わせる。
柔らかな感触がこれが現実だと教えてくれる。
「ん……」
もっと凛を感じたくて何度も唇を味わっていく。
「ンッ……けんしん……さま……ンッンッ……」
唇だけじゃ物足りぬ。
もっと凛を感じさせてくれ。
唇は水音を含み凛の耳を攻め、手は柔らかな胸を堪能し、あいている手は着物を乱していく。
ほどよい肌の弾力、ぬくもりを求め唇が凛の体を彷徨う。