第25章 たまには構いたいの/豊臣秀吉
「秀吉様……おとなしくしていましたか?」
声をかけながら三成くんは襖を開けると、私の目に飛び込んできたのは
「え……?」
「ふがふがっ!!」
……猿ぐつわをされ、縄でグルグル巻きにされた秀吉さんが布団に転がっていた。
どういう事なの?!
理解が出来ない私はしばらくの間、茫然として立ち尽くすしかなかった。
「いま、頭を冷やしてさしあげますね」
悪びれた様子もなく、三成くんは桶の中に手ぬぐいを浸し軽くしぼると秀吉さんの額にのせようとしてる。
「ふがっ!!」
頭を左右に振り抵抗をみせる秀吉さんを見て、ハッと我にかえる私。
「ちょっ!だめだよ!!」
慌てて三成くんから手ぬぐいをとりあげた。
「どうしたんですか?」
「三成くん……なにをしようとしているのかな?」
「?」
私の質問に目をぱちくりとさせ、瞬きを繰り返す
(ぁ……か、可愛い)
「秀吉様の熱をさげようと思いまして」
うん、わかるけど
手ぬぐいがビチャビャだよ?
「もっと硬くしぼらないと秀吉さんが濡れちゃってるよね?」
「あ……確かに。秀吉様が濡れていますね。申し訳ございません」
三成くんには悪気はないのはわかっている。
秀吉さんの事を心配しての行動だからこそ、怒るに怒れない。
それにしても、どうして?
「縛りつけているの?」
「それは私の趣味ですよ」
「えっ?!」
「くすっ……冗談です」
真顔で冗談なんて言わないでよ
一瞬、本気にしちゃったじゃない
「こうでもしとかないと秀吉様は、おとなしく寝ていてくれませんからね」
「ふごっふごっ!!(おとなしくしてるから縄をほどけよ!!)」
「縛られている秀吉様は可愛いですよ」
一瞬、三成くんの瞳が妖しく光って妖しい笑みを浮かべたのは___見なかった事にしよう。