第24章 届かない声/明智光秀*光秀side*
御館様の気まぐれで抱かれている女
それが凛への印象。
御館様がどんな女を抱こうが俺には関係ない。
興味もまったくわかなかった。
そんな俺が凛に興味を持ったのは、御館様から与えられた豪華な部屋で寂しそうに過ごしていたからだ。
女ならば憧れるであろう豪華な部屋。
使いきれないほどの化粧道具に、煌びやかな衣装。
それを目の前にしても凛は浮かない顔をして眺めているだけ。
何が不満だというのだ?
いずれは天下人となる御館様の気まぐれとはいえ、寵愛を受けているというのに。
まったく、わからん。
ただ、寂しそうに涙ぐむ凛から目を逸らす事が出来なかっただけだ。
それから何かにつけて凛を見るようになってしまった。
ふとした事で淡い笑みをもらす凛。
御館様を見つめる熱のこもった瞳。
愛されたい__そう切望しているかのように見つめているように思えた。
だからといって俺には何も出来る事はないのだがな。
わかっている、御館様の女に手をだすわけにはいかない。
だが、なぜだ?
俺は凛に恋い焦がれていく。
決して結ばれない女だからか?
手に入らぬから欲してしまうのか?
子供じみているな、俺は。