第23章 届かない声/明智光秀 *夢主side*
「逃げる事はないだろう」
「やめて……」
光秀さんの息が首にかかる。
お腹に腕を回されて逃げる事が出来ない。
「わかってるでしょう?私は」
「御館様の気に入りだろう……その証拠に……」
「ふ……っ……」
「こんなにも跡が残っているな」
光秀さんの長い指が私の鎖骨や胸に散らされた跡を辿っていく。
その動きに身体が熱くなってしまう。
ダメよ
私は信長様の女。
信長様以外の男の人に触れられるわけにはいかない。
「お願い……離して」
「離す気はない。それはおまえもだろう?」
「私は……ンッ……」
「まだ弄ってもいないのに濡れているようだが?」
「そんな事ない……っ……」
「すんなりと指が挿っていくが?」
「お願い……やめて……」
どうして愛撫もされていないのに受け入れてしまっているの?
「おまえは御館様以外の男を求めている__
そうだろう?凛」
「そんな事ない……私には信長様だけよ」
「いや、違うな。おまえはいつも怯えている。御館様にいつかは捨てられてしまうのをわかっているからだ」
どうしてそんな事を言うの?
「身寄りのない女のおまえは御館様に捨てられたら生きてはいけまい」
そこまでわかっているならこれ以上の事はしないで。
私は信長様を裏切るわけにはいかないんだから。
「御館様はおまえを愛してはいない。ただの気まぐれでおまえを抱いているだけ」
言わないで、私に気付かせないで