第23章 届かない声/明智光秀 *夢主side*
「うわぁー……生き返る」
光秀さんの御殿についた私はすぐに湯殿に案内をされて、冷えた身体を温めていた。
「気持ちいいな」
ゆったりとお湯に浸かっているとカタンと小さな音がした。女中さんが着替えでも持ってきてくれたのかな?
入り口の方で人影が動いている。
女中さんにしては大柄な人だよね
呑気にそんな事を考えていると、静かに入り口が開いた。
「え?」
どうして?!
咄嗟に手ぬぐいで身体を隠して入ってきた人物を凝視してしまう。
驚きのあまり声が掠れてしまう。
「光秀……さん。どうして?」
「俺も雨に打たれて身体が冷えたからな」
いつものような薄ら笑いを浮かべ、私に近付いてくる。
恥ずかしいと思うよりも怖い。
近付いてくるたびに私は後ろに下がるけど、すぐに退路は断たれてしまう。
「どうした?」
「っ……」
怖い
まるで蛇に睨まれたカエルのように竦んでしまう。
温まった身体が一気に冷える。
此処にいちゃダメ
逃げないと……
「ゆっくり……温まって……ください」
かろうじてそれだけ口にすると私は湯船から出ようと身体を動かすけど、手首を掴まれ引き寄せられてしまった。
「まだ冷えているようだな。ゆっくりと浸かるといい」
「……離して……」