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イケメン戦国 ◇甘い囁き 2◇R18

第23章 届かない声/明智光秀 *夢主side*


あの日、私は1人で城下に買い物に来ていた。

買い物を済ませて帰ろうとしたら突然の雨。
傘を持っていなかった私は、軒下で雨宿りをしていた。


「やみそうにないな……どうしよう」


雨のせいで辺りは一気に暗くなり、1人で帰るのが心細くなってきてしまう。

もっと時間がたってしまえば、更に暗くなっちゃう。だったら今帰った方が?


そう考えた私は濡れるのを覚悟して雨の中を走り出したけど、思った以上に雨は激しく降り、風も突き刺すように冷たい。


すぐに体温が奪われてしまい、走る足がおぼつかなくなる。
それでも懸命に足を動かしているけど、水たまりに足をとられて転んでしまった。



「もう……最悪……」


半べそになりながら立ち上がろうとすると


「こんな所で寝ていると風邪をひくぞ」

「……光秀さん」


傘を差し薄ら笑みを浮かべ私を見下ろしていた。


「寝ているわけじゃないですけど」

「そうだったのか」


私は光秀さんが苦手。
普段から何を考えているのかわからないから。

それでも手を差してだしてくれたので、その手に掴まり立ち上がった。


「ありがとうございます」

「1人で城下にきたのか?」

「はい」

「御館様が寵愛する姫君とは思えん行動だな」

「そうですか?信長様の許可はもらいましたけど」

「出掛ける時は籠を使うようにしろ」

「どうしてです?」

「悪い男に拉致されるぞ」



背筋が凍りつくような冷たい笑み。
私は身体の震えが止まらなかった。
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