第22章 春日山城は今日も平和です/真田幸村
「また借金かよ!!」
「幸は博打に負けるマスによく止まるな……ん?浮気がバレて慰謝料を払う?」
「あちこちに女を作るからだ」
「参ったな」
和やかにゲームは進んでいるんだけど、幸村だけはイライラを隠せないようでお酒を煽るように呑んでいる。
「ねぇ、そんなに呑んで大丈夫なの?」
「あー?呑んでねーとやってらんねーよ」
「そんなに機嫌が悪くなるならやめたら?」
「男がそう簡単に勝負を捨てるわけにはいかねーだろ。俺は絶対に勝つ!」
そんなゲーム如きにムキにならなくてもいいのに
半分、呆れてしまうけど普段はかっこいい幸村が子どもっぽく見えてなんだか可愛い。
「じゃあせめて何かつまみを食べて呑んでよ。何も食べてないでしょ」
「そうだけどよ、食えるもんないだろ」
「確かに……ね」
信玄様はお饅頭をつまみにお酒を呑んでるし
(お饅頭とお酒の組み合わせを見ているだけで胸焼け状態になりそう)
謙信様は梅干しをつまみにしてる
(まあ、まともだけど……何十個も食べてたら口の中がおかしくなりそう)
佐助くんは……もはや……うん。
まきびしを愛でながら呑んでいる
(ノーコメントにさせてちょうだい)
「何か用意してくるから待ってて」
「行くなよ」
「え?」
立ち上がろうとしたら裾を掴まれてしまった。
「幸村……?」
「傍にいてくれ」
熱がこもった瞳で見つめられて胸がどきどきする。
「おまえと離れたくない」
掠れた声で私を求めてくるなんて……幸村ったら
「酔ってる?」