第21章 耳掃除/織田信長
いつもは当然のように膝に頭を乗せてくる信長様なのに、今日はいつもと様子が違う気がするのは気のせいかな?
なんだか渋々と頭を乗せてくる感じがするし、若干だけど身体が強張っているみたい。
「じゃあ、はじめますよ」
「ああ……」
それにしてもいつもは気にして見てなかったんだけど、信長様の耳って形が良いよね。
耳の穴がよく見えるように耳たぶを指でつまむと
「ンッ……」
身体をピクッと小さく動かす信長様。
今の反応って?
それに「ンッ……」って吐息?
気になってもう1度耳たぶをつまんで引っ張っると
「っ……」
肩が小さく揺れる。
あら?
あらら?
ほんのりと染まる耳と頬。
何かに耐えるように眉間にしわを寄せているんだけど……もしかしたら?もしかすると?
耳よわい?
感じちゃってる?
耳掃除をするふりをして耳たぶを弄るたびに、声を押し殺している信長様が可愛いくてたまらない。
いつもは信長様に翻弄されて成されるがままの私。
でも、今はこうやって信長様をちょっとでも翻弄できるなんて嬉しいかも。
つい調子にのって耳に息を吹きかけると
「っ……!!」
耳を押さえながら起き上がってしまった。
「貴様……!!」
頬を染め涙目の信長様の顔ってはじめて見たかも。
可愛いくて、それでいて艶っぽい。