第2章 イライラ/真田幸村
「やっぱり……だよな」
「ゆきっ……」
私から離れて、褥の上にあぐらをかく幸村は、どこか思い詰めてるみたい。
はやく、否定しなくっちゃ!!
幸村が傷ついちゃう
でも、涙が邪魔をして嗚咽しかでない。
幸村は小さく溜息をつくと私に背をむけて
「俺……どうやったら凛が悦ぶのか……わかんねーんだよ」
と呟いた。
「え?」
「悪かったな……俺、信玄様の言うとおりに修行してくるわ」
信玄様?
修行??
「……幸村……修行って?え?……信玄様って?」
「信玄様に言われたんだよ__俺は相手を気遣う事が出来ないって」
「だからさ、凛を抱く時も自分勝手に抱いてさ……俺が触れた所が凛の気持ち良い所と勘違いしてたみたいで」
苦しそうに思いを伝えてくれる幸村にイライラなんかすっ飛んでしまった。
幸村は幸村なりに考えてくれていたんだ
そう思うと胸が切なくなって苦しくなる。
「だから俺、修行に行ってくる」
「修行って?」
(まさか滝修行?)
「信玄様が用意してくれた、くのいちを抱いて凛を悦ばせる手ほどきを教わってくる」
「はあ?!」
……さっきまで
つい、さっきまで私は嬉しくて感動さえしていた。
私を悦ばせようと幸村なりに必死に考えてくれたこと
私の事を愛してくれてるんだって
それが何?!
女を抱く修行だと?!
「ふざけんなよ!!」
力を込めて幸村を張り倒していた私