第2章 イライラ/真田幸村
「なあ……凛」
「なに?」
「もしかして……気持ち良くない?」
「……」
いつもの私だったら、作り笑顔全開で「そんな事ないよ」とか言っちゃうんだけど……
ごめん、幸村
今日の私には無理だよ
1度口を開けば今まで溜めてあった言葉を全て吐き出してしまいそう。
だから、私は無言でいるよ
男にとってエッチが下手くそって言われるのは大ダメージになるって想像はつく。
そんな事で
(いや、本当は1番大事な事だと思うけど)
幸村との関係がぎくしゃくとするのは嫌なの。
エッチ以外の幸村は、私が知る限り最高の男だよ。
ちょっと照れやで、素直になれない所は可愛いし、男らしく私を引っ張ってくれる所も好き。
何より、私の事を愛してくれているもの。
幸村を傷つけたくない__
だからといって、このイライラがなくなるわけじゃない。
自分でもどうしていいのか分かんないよ
吐き出してしまえば楽になる?
胸が苦しくて破裂しそう
幸村が好きだから、本当の事は言えない
言葉を飲み込む代わりに涙が溢れて止まらない
「泣くほど……下手くそか?」
「っ……ちがっ……」
流れる涙が幸村の言葉を肯定してしまう