第19章 目覚めた時は傍にいろ/上杉謙信
「まったく……何処に行ったのだ」
凛が見つからない苛立ちから眉間にしわを寄せる謙信。
美しい男はそんな苛立つ顔でさえ美しい。
「ふむ……こいつに聞いてみるか」
またも部屋の主に断りもなく襖を開け放つ謙信。
まったく自由奔放な男である。
「凛を見なかったか?」
「え?謙信様ですか?」
「げっ!……謙信様?!」
1つの布団で仲良く寝ていたのは佐助と幸村。
眼鏡を外しているものだから謙信の姿がよく見えない佐助は熊の置物に向かって
「あいにく寝ていたので凛さんは見ていません」
「佐助っ!それは熊の置物だ。ほら、眼鏡」
佐助の顔に眼鏡をかけてあげる幸村。
それにしても何故この2人は1つの布団で寝ているんでしょうか?
(しかも裸なんですが?)
幸村の首筋にある紅い跡は……見なかった事にしましょう。
謙信もこの事に関しては突っ込みをいれる気がないようなので
「幸村……ケツは大事にしろ」
と、一言だけ残して部屋を出て行ってしまった。