第19章 目覚めた時は傍にいろ/上杉謙信
凛を捜すものの何処にいるのか皆目見当もつかない謙信は廊下の真ん中で立ち尽くしてしまう。
何処を捜せばよいのだ?
辺りを見回してヒントとなるものを捜すが、ヒントが転がっているわけではない。
あの部屋で聞いてみるか
見慣れた襖に手をかけると
「んあっ……もう堪忍して……んっ……」
中からは艶を帯び、許しを懇願する女の声が聞こえる。誰がどう聞いても情事の真っ最中。
普通ならば気を使って部屋には入らないものだが、謙信は違う。
そんな事はお構いなしに襖を開け放ち、部屋の主に声をかける。
「凛を見なかったか?」
「きゃっ」
突然部屋に現れた謙信にびっくりして、信玄の上に跨がっていた女は慌てて布団の中に潜ってしまった。
「凛?今日はまだ見ていないが?」
「そうか……邪魔したな」
悪びれた様子もなく謙信は部屋を出ていってしまう。
「すまなかったね」
「いえ……別に……」
謙信に恥ずかしい所を見られたと泣きそうになる女を慰めるように抱きしめる信玄。
羞恥に震え泣きそうなきみもたまらなく良いとは……
新たな魅力の発見だな。
女への愛情が深まった信玄は、己の欲望に忠実に従って女を褥に縛り付けていく。