第17章 虫歯/伊達政宗
「俺の料理が美味すぎて目方が増えたのを気にしてるんだろ?」
「違うよ!!」
(……確かに少しは増えたような気がしなくもないけど)
「冗談だ……そう怒るなよ」
「むうっ」
笑いながら私の頭をあやすように撫でてくれる政宗に本気で怒りかけた自分が馬鹿らしく思えて機嫌が直ってしまう。
「……で?」
「ん?」
「どうしたんだよ?」
「なんでもないよ」
「こらっ」
「っ……!」
ほっぺたを軽く抓んでくる政宗の瞳は真剣で
「凛が空元気なのは分かってんだよ。
どうしたんだ?」
……言いたくないんだけど
政宗が心配してくれてるのが伝わってきて
「歯が……いたいの」
「は?」
キョトンと目を丸くする政宗が可愛い
胸がきゅっと熱くなって歯の痛みを一瞬だけ忘れてしまうけど……現実は甘くないよね
奥歯がズキズキと痛みだして顔をしかめたくなってしまうのを堪える。
「虫歯……だと思うんだけど」
「見せてみろ」
「や、やだよっ」
両手で口を塞いで防御する。
絶対にイヤだよ
口の中を見られるなんて恥ずかしいじゃない
絶対に言われると思った
だから、政宗には隠していたんだから
「凛……見せろ」
「っ……」
なんで彼女相手に凄むのよ?!
怖いよ