第2章 六つ子。
僕が食事を終えるまで、髪がさらさらだと言って触ったり、またほっぺを触ってみたりとおそ松兄さんのセクハラは続いた。
「いやぁ、もうたまんないねぇ!
女の子ってなんでこんなやらかいかなぁ?」
夕香は困ったみたいにそわそわしながら、たまにこちらに視線を向ける。照れてんのかな。
それとも僕が口を滑らせないか、気にしてんのかな。
...別に言ったところでどうなる訳でもないし、言うつもりないけど。
3人で一緒にいても、僕なんてほとんど空気だよね。
たまに僕が喋るときでも夕香はおそ松兄さんのほうをちらちら見て、照れたみたいに微笑んで。
あぁ、馬鹿らしい。
こんな時はもうこの関係を終わりにしよう、もう2人で会わないようにしようって何度でも思う。
夕香の告白の後押しでもして、この気持ちをなかったことにしたい。
.....早くかなわないって思わせてくれたらいいのに。
それでも諦められないのは、やっぱり僕がクズだからかな。
夕香の幸せより、自分の一時の幸せしか考えられない。
心から幸せな訳でもないのに。
真綿で首を締め付けられるみたいに、じわじわ汚い気持ちが溜まっていくだけなのに。
...それでも。