第10章 練習試合
「っ…。」
まっすぐと前を向くと、こちらを見据えた目としっかり合う、
その目、その色。
吸い込まれそうな瞳に釘付けになってしまう
頬にも手が回っていて、さっきまで抱きしめられていた背中に温もりが未だに残っている。
まるで━━━━━
花宮「……蜘蛛の糸に絡まった蝶…ってか?」
「っ…!」
この男は本当に…。
はっ、っと軽く笑われるとゆっくりと顔を近づけてくる。
鼻と鼻が触れ合うあたりでピタリと止まる。
花宮「目、瞑れよ。」
「…何すんの。」
花宮「さァ、何だろうなぁ。」
わざとらしく口元を歪ませ、喉の奥でくつくつと笑う花宮。
「…意地悪。」
花宮「分かりきってるクセして聞いてくるお前もお前だと思うけどな。」
━━━━いいから目を閉じろ。
そう掠れた低い声で言われると同時に、唇を重ね合わせる。
ゆっくりと唇を動かし、お互いの存在を確かめ合うようにキスをする。
何度も何度も角度を変えて、お互いがお互いを求め合うように。