第10章 練習試合
青峰side
この間会った時、こっちでもバスケ関係を続けているのはわかっていた。
だが、こんな形でやっているとはな。
1回だけ中学の時に見たあいつの試合している姿。
たまたま会場が同じで俺らの試合が始まる前に女子の試合だった。
何の変哲もないただの中学校が何故ここまで強かったのか。
それは見たら一目瞭然だった。
1人だけ、俺らに匹敵する、いやそれ以上の力を持つやつがいた。
それがだった。俺だけじゃない、赤司までもそれに釘付けだった。
何故あれだけ強くて無名なのか、あの試合が終わってから噂は直ぐに広まった。夏目という女。中学や生年月日まで、俺も他のやつも興味を持った。だからまさか桐皇で会えるなんても思ってなかった。
1回だけ、バスケをしている姿を見せてくれたことがある。
というか俺が1on1を申し込んだだけなんだけどな。
その時、夏目は手を抜いてきやがったのを覚えてる。
俺は解いた。
『なんで、手抜くんだよ。』
『だって……、もし本気で戦ってきみが今ここで勝ったら、余計つまんなくなるでしょ?』
全てあいつはわかっててやっていた。
だから余計に燃えた。アイツと本気でぶつかって勝負が出来るのを強く望んでいた。
青峰「夏目…本気で来いよ」
「嫌だね。本気はウィンターカップだよ。ばぁか」
青峰「ちっ……かったりぃな」
「相変わらず先輩に敬語を使わない野郎だ」
久しぶりに見た。
こいつが素で話しているところを。
正直、霧崎第一に行かせたくねぇと思ってたんだが、
青峰「…ま、それもそれでありだな。」
助けてやれなかったのは本気で後悔をしている。
さつきにも説明した、誤解を解こうとした。結局は、さつきは夏目を庇うことは無かった。今吉も。
腹立つことばかりだ。
だから、
青峰「てめぇ、今手抜いてもいいけどよ、ウィンターカップでぜってぇ本気で戦わせてやるからなァ。」
「おぉ、怖い怖い」
青峰「とりあえず、他の奴には黙っとく」
「そこは偉いのな。」
青峰「色々あっからな……アンタには」
とりあえず、今日は手を抜いても許してやるよ。
次はねぇけどな。