第10章 練習試合
試合終わりのブザーがなる。
桐皇81対79霧崎第一
夏目「2点差かぁ……。」
青峰「手抜いてなかったらよゆーで勝てただろ。」
青峰が不機嫌に言う。
誤魔化すように笑顔で返すと、周りからの視線が気になった。
若松や、今吉、桃井、円城寺までが異様な物を見る目でこっちを見ている。
多分、勘だけど今吉と桃井は気づいてる……気がする。
「…。」
花宮「……挨拶してさっさと終わりにさせるぞ。」
「うん。」
花宮が察してくれたのか、さっさと挨拶をして帰りの準備をしだす。
練習試合がおわり、みんながユニフォームを脱いで着替えにロッカーに向かう。
自分だけロッカーが違うから不振な動きがバレないように上のユニフォームだけ脱いでいった。
そろりそろりと隣の部屋のロッカーに入り一息つく。
すると突然肩に手を置かれる。
「びっ……くりした……?」
恐る恐る後ろをむくと、
「今吉さん……?」
笑顔の今吉が後ろにたっていた。
動揺しているのがバレないように愛想笑いをつくろう。
「なんですか…?」
心臓がドキドキしていてどうにかしそうだ。
今吉「いやぁ、なんやすごい子霧崎に気づいたらおってなぁ。ビックリして話しかけてみよーおもて着いてきたんよ。」
「な、なるほど……。」
今吉「したらなぁ、なんや1人だけすごいところで着替えとるやん。いじめにでもあってるのか思うて心配してまうわ。」
「いや別に…。人数が多くてひとりが好きなのでこちらに……。」
今吉「へぇ、なるほどなぁ…。夏目クンは大勢で居るのが好きやないんやな。」
「そ、そうですね……。」
答えてから思った。今日自分の名前を1回も出していない。花宮たちでさえ呼ばなかった。
この人は、
今吉「なんや、気づくの遅いんとちゃう?」