第10章 練習試合
試合開始のブザーがなる。
4セット形式の試合中、1セット目が始まった。
スターターじゃない私は、桐皇の観察とマネージャーの仕事、霧崎の人達の動きを観察したりしていた。
相変わらず楽しそうに動く原、目つきの悪い山崎、覇気のない目をした古橋、そして何よりも
「っ……!」
桐皇よりも先に点を決めた花宮。
「アイツ…ラフプレーしなくても強いのに…エグいなぁ悪童」
ははっと軽く笑ってしまう。
何よりも正確に動き、オフェンスディフェンスを繰り返す霧崎の人達は、さすが強豪校と言ったところであろうか。
しかしそれを上回る力を持つ桐皇も負けてはいない。
最初の試合に青峰は居ない。だが、性格にパスを回し個々でしっかり役目を果たしているが本気でかかってきてはいない。向こうも勝つか負けるかの練習試合をしに来た訳では無いようだ。
そして、機敏に動きポイントをすかさず入れる桐皇。
「なかなかだな……」
切り返しがとても早い。
そんなこんなで1セット目が終わる。
桐皇36-30霧崎
中々の接戦だったようだ。
点差が6点。
「やるな……。」
10分間の休憩。
青峰とふと目が合った。
青峰「……」
「……なんだよ。」
青峰「……いや、なんでも。」
そういいさって言ってしまった。
タオルをスターターの選手達に配りスポドリを渡す。
そうすると、みんながいる少し離れたところで花宮が手招きをした。
「どした?」
花宮「いや……特に何かあるわけじゃねぇ。」
「心配してくれてたんだ?」
花宮「うるせぇよ……」
相変わらず素直じゃないやつだ。
すると突然
?「すみませ〜ん」
「げっ……」
声をした方を振り向くと笑顔の円城寺がいた。