第10章 練習試合
理不尽な2セット追加を難なくこなし、スポドリやタオルの準備をしておく。
自分が試合に出ていたら下準備などができないからだ。
時計をふと見ると、桐皇の到着予定時間5分前だった。
慌てて体育館に戻る。
原「あ、来た。」
花宮「よし、全員揃ったな。これからの予定と動きをもう一度確認するぞ。」
簡単に花宮が説明し終わると、黒い団体を部員がぞろぞろと引き連れてくる。
「来たか……。」
先頭今吉に、後ろには青峰、桃井とその隣に
「円城寺……。」
花宮「……。」
黙って視線を向ける。
向こうはこちらの様子に気づいていないようだ。
今吉「いやぁ、急に決めてしもてすまんなぁ。ほな、よろしゅう頼むわ。」
花宮の前に立ち握手を求める今吉。
花宮は心底嫌そうな顔を浮かべた後にすぐ猫を被り笑顔を見せる。
花宮「いいえ、こちらこそ。よろしくお願いします。」
お互い握られている手はぎりぎりと音を立てているかのようにきつく手を結びあっている。
お互いの笑顔がいつもより、より一層黒く見られる。
「か、監督……。」
普段よりも低い声で、呼び方も変えて話したら原や山崎にキョトンとした顔で見られる。
花宮までも少し目を見開いてみてきた。
バレるからやめてくれ。
「アップして、試合始めましょう?」
花宮は戸惑いながらも、「あ、あぁ。」とだけ言い指示を出し、桐皇の人達に今日の試合の流れの説明をしていた。
チラッと横目で円城寺や今吉の顔を見る。
今吉は頷き花宮に確認を取りながら今日の流れを聞いていた。
円城寺は、楽しそうに桃井と話しながらチラチラと花宮のことを見ていた。
やはりこうなったか。
まぁ、目に見えていた光景だな。多分花宮に限ってはあの女はないとは思うけど。
花宮の言う通りアップをするため原達の元へ行く。
後ろから視線を感じていたのはきっと気の所為だろう。