第10章 練習試合
あの二人が現れてから、花宮は何時になく気難しい顔をしていることが多くなった。一日たった今でも、家のソファーで本を手に取り難しい顔をしている。
恐らく、本も入ってこないほど考え込んでいるのだろう。証拠に、1時間経った今でも1ページもめくっていないのだから。
「花宮……?」
花宮「……」
呼んでもこのとおり、1ミリたりとも微動打にしない。
本当に魂だけどっかに行ったのではないかと思って思わず心配しそうになる。
「……はなみゃ~、まこたん」
すごい形相でこっちを振り向く花宮。
「おぉ……びっくりしたぁ……聞こえてんなら1回で返事しなよね」
花宮は振り向いた顔のまま顔を歪ませる。
花宮「……お前…調子が中学の時みたいに戻ってきてんな」
「えぇ?そうかなぁ…だとしたらみんなのおかげだね」
花宮「へぇ……」
少し面白いものを見つけた時のように嘲るように口元をゆるめ笑う。
花宮「二重人格かなにかか??」
嫌味ったらしく聞く。
全くこの男は……
「ほんっとに性格わるいんだから、まこたんは」
花宮「……お前それ次言ったらペナルティだからな」
「おぉ〜怖い怖い」
と言いつつ花宮の隣に腰をかける。
「それで、何考えてたの?」
目を合わせ尋ねると、急に真剣な顔をしたからか、少し目を見開き直ぐにいつもの顔に戻る花宮。
花宮「……なんだと思う」
「ま、あれしかないよね」
そんなに気にする?と問うと、まぁなと少し気の抜けた返事が返ってきた。
花宮「…嫌でも長くいることになったあいつ含めて俺らが、なんでこういう状況に置かれているか。まぁ、それは問題外だ。それはいいとして、今吉がなんで罪を犯したか、だ」
「……今になったことじゃないけどね、なんでだと思う?」
花宮「っ!お前……」
花宮が目を見開く。
「あの時に居たでしょ?体育館。私がその……今吉と無理やり行為に及ばされてたとき」
気まずくなって目をそらす。
「あ、いや、あの助けて欲しかったとか恨んでるんじゃなくて!あれは、誰でもその場から動けなくなると思うし、うん」
自分が哀れになって少し俯く。