第10章 練習試合
花宮「……ってことで、桐皇と練習試合することになった。非公式のな」
みんなが緊迫して息を飲んだ。
しばらくの沈黙が続いたあと、原が口を開く。
原「ねぇ、それ大丈夫なの?にまたなんかあったら……」
原がこちらを向く。
「多分、大丈夫だと……思う。自信はない、でも、もしウィンターカップに出場することになってぶつかった時下手に動けなかったりすることになるよりマシかなって。ちょっと怖いけど、やってみる価値はあるかなって思った」
瀬戸「なるほどね……まぁ、が言うならいいんじゃない?」
瀬戸が花宮を見る。
花宮は何やら気難しそうな顔をして腕を組んでいる。
花宮「……まぁ、な。それはそれでいい、だが……」
今吉が何を考えているか、だろう。
分からないのはただそれだけ。
恐らく花宮が思っているのは夏目と同じ勘が働いていて
考えていることは同じ。
多分、今吉は……
「……あの人は……、私が何もしていないことを知っていた」
ぽつりと呟く。
それに反応するように花宮がこっちを見る。
花宮「…ただ、だとしたら『何で』だ」
何故、今吉はあんなことをした。
むしろなぜ向こう側に加担したのか。
最初は何もしていないことを知っていたが、突然手のひらを裏返したように行動に及んだ。
相手の気持ちをくみ取り、感情を読む。その力があるなら尚更だ。
花宮「アイツとは腹の探り合いはしたかねぇんだけどなぁ……」
「あの人に、気持ちをくみ取ることで勝てる事なんてない」
100に近い確率で。
勝てる勝算は、自分たちが先に今吉の気持ちや行動について解釈すること。そして追い詰める事。
花宮「……」
「取り敢えず、連絡を待ちながら色々考えよう」
この言葉に一同頷く。
そのあとの体育館の様子は、いつもよりも活発に活動しているようにも見えた。