第17章 Afterward 〜ネコとくま〜
「わかんないわけないじゃん?
俺、大野智専属の通訳だよ?」
そう言って笑う君。
「どれだけ智くんのこと
想ってると思うの?
智くんのことなら智くんよりも
判る自信があるよ?」
「僕よりって…」
「智くん、俺の我が儘、
続き言ってもいい?」
「うん」
「さっき、智くんが黙って
飲み込んだ言葉…教えて」
あぁ…やっぱり翔くんにはかなわない。
「翔くん…抱いて…ほしい。
一人で上海で頑張れるように
翔くんを刻み付けて…」
そっと翔くんを見ると…
ぐってテンションが掛かって
気がつけば翔くんの腕の中。
「寝かせてあげれないかも
しれないけどいい?」
「いいよ、飛行機で寝るから…
いる間の時間は全部翔くんで埋めて」
翔くんと手をつなぎ、
部屋への階段を上る。
いつもの階段を二人で上るだけなのに
なぜかすごく特別に思えた。
赤のモザイクの飾りのついたドアを開き、
綺麗にベッドメイクされたベッドに
二人で倒れ込む。
ギシッていうベッドのきしむ音。
そんな小さな音さえも
響くと感じるほどの静粛の中で
どちらからともなく口づけをかわす。