第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
「ただいま…
って寝ちゃったか?」
静かに閉まる扉の音と微かに聞こえる声。
リビングの扉が開いて空気が動くのを感じる。
「智くん?
こんなところで寝てると風邪ひくよ?」
「…んっ、しょうくん、おかえり…」
ゆっくり体を起こし目を開けると心配そうな顔の翔くんがいた。
「泣いてたの?」
翔くんがそっと指を頬に滑らせる。
「…今日のzero見てたら…去年のこと、思い出しちゃって…。
お酒も入ってたし…」
勝手に思い出してただけだから…別に翔くんが悪いわけじゃないから…そう思いながら言葉を重ねようとしたけど…遮るように抱きしめられた。
「ごめん…」
そういう翔くんの頬を両手で包み、唇に自分のそれを押し付ける。
「ごめんって思うなら…あの時みたいに甘く溶かしてほしい…な…」
恥ずかしいと思いつつ、でも翔くんにこれ以上自分を責めてほしくなくて…。
次の瞬間、体はふわっと持ち上げられた。
「あの時以上に甘く溶かしていい?」
翔くんが耳許で囁く。
その声に頷くとそのまま寝室へ運ばれる。
甘く激しく愛を教えられて…。
これからはきっとラグビーを語る翔くんに微笑める気がした…。
-END-