第17章 Afterward 〜ネコとくま〜
「じゃぁさ…僕の我が儘、聞いてくれる?」
僕、なんども聞いたよ?
何度も言ったよ…。
疲れている君に無理をさせたくないから。
僕の我が儘で
君を疲れさせることはしたくないから。
でもさ…もう止まらないと思う。
「智くんの我が儘?いいよ?
それがどんな願いでも
かなえてあげる。
それが俺の存在意義だから」
「あのさ…明日から上海なの…」
「うん、知ってる」
「だから…」
「だから?」
「…」
言おうと思ったのに言えなくて…
つい黙り込んでしまう。
そんな僕の顔を覗き込む翔くん。
「じゃあさ、俺の我が儘、聞いてくれる?」
「翔くんの?」
「そう」
短く答える翔くんに頷く僕。
「11時間、頑張ったご褒美、ちょうだい」
「ご褒美?」
「智くんを抱きたい…
上海に行ってる間も
そばに感じるぐらい…抱きたい」
「翔くん…なんで…?」
僕が言いたかったこと。
抱いてほしいと思ったんだ。
上海に行くって言っても
レギュラーがあるからすぐに戻る。
でも…特番の準備でお互い
すれ違ってたから…。
寂しかったんだ…。
そんな気持ちのまま、
上海に行きたくなかった。
でも疲れているであろう、
翔くんに言うのが…辛かった。