第17章 Afterward 〜ネコとくま〜
僕は実際の入り時間よりも
大分早めにホテルに入って
ずーっとテレビで翔くんを見ていた。
11時間という長丁場。
休憩もほぼない中で
頑張る翔くんをずっとみてた。
僕のVTRに手を振って、
音の乗らない中で口を動かし
答えてくれた翔くんに
テレビ越しに手を振った。
翔くんの笑顔が見れて嬉しかった。
そんなことを思い出しながら
リビングでビールの缶をあけた。
少し飲んだところで
翔くんが髪の毛を拭きながら
リビングに来た。
「何飲んでるの?」
「一番搾り。翔くんも飲む?
出してくるよ?」
「ううん、いい。こっち貰うから」
そう言って僕の持つ缶を
僕の手ごと自分の口に寄せて飲む。
「うん、美味しい」
にっこり笑う君。
「もう…僕の分、ないじゃん」
「まだ飲むの?」
「まだってそんなに飲んでないよ?」
ちょっと拗ねる僕に翔くんが
宥めるようにキスをしてきた。
「こっちも美味しい」
「ばーか。一口で酔ったの?」
「ううん。酔ってない」
「やっぱり疲れてるんじゃないの?
もう寝よう?」
「言っただろう?
『興奮してて眠れない』って」
「ほんとに疲れてないの?」
念を押すように何度もいう僕に
翔くんは
「例え疲れてても
このまま寝る気はないよ」
って。