第16章 ネコとくま

「まぁそこはそっちで話し合って。

　私も行くので」


「え？和、家にかえらないの？」


「ええ…ちょっと気になるんで、

　潤くんのところに行くつもりです」


「つもりって…

　つまり潤にはなんにも

　言ってないの？」


僕がおしつけたくまのぬいぐるみを

持ちながら翔くんがニノに聞いてる。


「ええ。

　なので時間調整してたんです、

　ここで」


「和、なにかあったの？

　僕たち、何か出来る？」


「正直、私も判らないんです。

　ただ色々ね…？」


「和の勘？」


そう聞く僕にニノは頷く。


「とりあえず、大野さんも翔ちゃんも

　大丈夫だからゆっくり休んで？
　
　って無理か？

　翔ちゃん、興奮してるんだもんね？」
　

にやりと笑うニノ。


「おまっ」


そういって絶句する翔くんを尻目に

ニノは「じゃ」って言って

出て行った。

楽屋に残された僕たち。


「翔くん、とりあえず僕たちも

　帰ろうか？」


「そうだね…帰ろう…」


生放送よりも疲れた気がする、

楽屋でのやり取り。

二人で顔を見合わせる。