第14章 Intoxicated
俺がその上目遣いに弱いの知ってて
やってるよね?
「うん、教えて。
斗真にも迷惑かけたし謝らないと
まずいでしょ?」
「うん、斗真には悪いことしたと思ってる」
顔に反省中ってかいてるよ…智くん。
「あのね…前にね…
局に打ち合わせにいったときに…」
言いづらそうな智くん。
細い肩が震えているように見えて…
抱き寄せた。
俺の肩に顔を寄せて続ける。
「トイレでね、スタッフさんが
翔くんの番組の悪口言ってたの。
ホントはその場で
言ってやりたかったけど言えなくて…」
悔しそうに唇を噛む智くん。
「声は覚えてて…昨日飲んだのさ、
斗真とやったドラマのスタッフさんが
ほとんどだったんだけどね…
その中にあの声の人がいたのに
気づいちゃったの」
泣きそうな声の智くん。
「どんなつもりかは判らないけど、
そこでも翔くんの番組の
スタッフさんの悪口を言ってて…」
智くんのいる側の肩が濡れた気がした。
「ほんとはね、言い返したかったんだ。
『そんなことない』って。
でも言えなかった。
言えなかった分を全部
飲み干したくて…たくさん飲んだの。
飲んだら翔くんのそばに行きたくて…
斗真に我が儘言っちゃった…」
この人らしいなぁ。
自分のことはどれだけ何を言われても
意に介さないのに…
メンバーのことになるとそうじゃない。
だれよりも傷ついて
守ろうとするんだよなぁ。