第14章 Intoxicated
「せめて俺、半分出したいんだけど…」
「いいよ、ここは奢られときなよ。
それこそ今日の迷惑料
とでも思ってよ」
「迷惑ではないんだけどね…
俺、大野くんの家、知らないからさ。
送れなくて」
「とにかく助かったよ。
ほんとごめんね。
今度お礼させてね?」
「気にしないで…
大野くんと飲めて楽しかったし」
斗真としゃべってる俺に
智くんが絡んでくる。
「しょーちゃん、ねぇしょーちゃん」
にこにこと上機嫌だ。
その上機嫌さが不自然だ、
この人らしくない。
そんなことを考えてる俺の
腕をすり抜け斗真の前に行く智くん。
なにするんだろうって思ったら
いきなりハグをした。
驚く斗真に智くんは
にこにこしながら言う。
「とーま、とーま。
しょーちゃんよんでいくれて
ありがとっ」
あっ斗真堕ちたかも…。
「大野くん!また飲もうね!
絶対だよ!」
「うん!うん!」
判ってるのか判っていないのか、
普段以上にふわふわとした顔で
斗真としゃべる智くん。
…小悪魔…。
「斗真、ごめん。
すぐ連れて帰るから。またね」
俺は智くんの腰に手を廻し、
そのまま外へ連れ出し助手席に
押し込んだ。