第14章 Intoxicated
「あぁもう、とにかく!
いいから来てよ」
斗真との会話の後ろから
智くんの声が聞こえる。
『ねぇ、しょーちゃんは?
とーま?
しょーちゃんじゃないと
おれかえらないよ』
「大野くん、ちょっと待って、
今、翔くんに電話してるから」
受話器の向こうで必死に
智くんを宥める斗真の声。
『しょーちゃんこないなら、
つぎいこ!つぎ!』
明らかに様子のおかしい智くんに
俺も慌てて斗真に叫ぶ。
「わかった、わかったから!
ダッシュで行くから!
すぐ地図送って!」
そう言いながら財布と鍵を持って
駐車場へ駆け下りエンジンをかける。
スマホに送られてきた住所を
ナビにセットして、
焦る気持ちを抑えながら
アクセルを踏んだ。
北青山の奥にある一軒家…風の店。
店の人に案内してもらった一室に
智くんと斗真がいた。
俺の顔を見て明らかに
ホッとした顔を見せる斗真。
「翔くん!待ってたよ!
待ってたんだから」
斗真は酔っぱらいの相手で半泣き状態。
「斗真、悪かったなぁ。
智くん、どうしちゃったの?」
とりあえず事情を聞いてみる。
「わかんないよ。
途中まで機嫌良く
スタッフさんたちも交えて
飲んでたの」
説明を始めた横で、
智くんがすり寄ってきた。
「しょーちゃん♡」
いつも以上に脱力した微笑み。
「智くん、飲みすぎだよ。
斗真にも迷惑かけて…だめだろ?」
「しょーくん…ごめんなさい」
目に見えてしゅんとした智くん。