第11章 シンデレラエクスプレス
なんか急に恥ずかしくなってきて
顔を背けたくなったけど…。
翔くんは僕を壁際に追いつめ…
綺麗な瞳で見つめながら
顎に手を伸ばし固定する。
「智くん知ってる?これ。
壁ドンにアゴくいって
言うんだって」
そう言いながら翔くんの唇を
僕の唇に重ねる。
「でね?
床ドンっていうのもあるんだって」
そう言いながら…翔くんは
僕を抱き上げ、ベッドへ移動させた。
そのまま押し倒される。
「床ドン。
…こうやってやるんだってよ?」
言いながら唇を塞がれ、
男らしい手は僕の身体をまさぐる。
「しょうくん…」
呼ぶ声に熱が混じる。
吐息に含まれる甘さに
自分が解らなくなる。
「智くん…俺に全部ゆだねて」
Noは言えなかった。
いつもと違う街で大好きな人の腕に
抱かれた夜はいつも以上の
幸せをくれた。
朝、アラームの音の目が覚める。
一人、ホテルのベッドにいた僕。
…あれは幻だったの?
身体を包む翔くんのスエット。
置き去りにされてるお弁当…
グラスに残ったビール。
それは昨日、眠りに落ちた時と
何も変わってなくて…。
夢だったのかな?
スエットに残る香りが見せた
幻だったのかな?