第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
「ごめん、ちゃんと話をしよう?」
翔くんが僕の顔を覗き込む。
素直に頷けばいいのに今日の僕はそんな気持ちになれなくて顔をそらしてしまう。
「智くん…」
翔くんの寂しそうなつぶやきに思わず顔を上げそうになるけど…僕は怒ってるから。
ふぅって翔くんのため息が聞こえた。
呆れられたかな…。
でも…でも…。
こんなふうになるなんて思わなかったけど…もしかしたらもう終わりなのかな…。
もう…一緒にいられないかも…。
そんなことを思ったらまた涙が出てきて…。
手にしてた枕に顔を押し付ける。
「そのままでいいから聞いて」
ぎしって小さくベッドのマットレスが鳴って翔くんが僕のそばに座ったのがわかる。
「今日のことは本当にごめん。
せっかく一緒にオフになったのに…。
しかも俺からした約束だったのに、俺の勝手で破っちゃって…。
ずっとお願いしてた取材先だったから、許可が降りて嬉しくなって、智くんのことを考えずに飛び出しちゃって…。
本当にごめん。
挽回の機会、もらえないかな?」
翔くんの手が僕の髪を撫でる。
その優しさにほだされそうになる自分がいた。