第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
予想通り迎えに来た翔くん。
風磨が翔くんに電話してるのをわかった上であえて聞こえるように甘えた声を出した。
何やってるんだろうって、我ながら思ったけど、自分を軽んじられたようなイライラがそうさせてた。
巻き込んだ事に申し訳なく思って酔った振りしてたぬき寝入りして風磨との時間をやり過ごす。
バタバタと入ってきた翔くんはイライラした空気を纏ってたけどそれが更に僕の気持ちを逆撫でする。
イライラしてるのも怒りたいのも僕なのに!
でも…鈍感な翔くんは気が付かない…。
だから…客間に籠もってやった。
それが今の僕に出来る精一杯だった。
『…ねぇ…起きてるでしょ?
ここ…開けて?」
扉の向こうから聞こえる翔くんの低い声。
開けたければ開ければいいじゃん?
ここ翔くんの家なんだし…。
無視するように黙ったまま扉に背を向けて布団を頭からかぶる。
「…翔君なんて…知らないっ」
布団からそっと腕を伸ばして枕を掴むと布団の中に引っ張り込み、顔をつけて零れそうになる嗚咽を染み込ませる。
「………翔くんの……バカ」
「…誰が馬鹿だって?」
翔くんの低い声と共に布団が剥ぎ取られた…。