第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
『おかえりなさい、鍵開けましたから…入ってきてください』
インターフォンを連打した俺に風磨の呆れたような声が返ってくる。
オートで開いた扉にぶつかる勢いで中に入り、ボタンを連打してエレベーターを呼び、風磨の部屋のあるフロアを目指す。
部屋のインターフォンを鳴らす前にドアが開いて風磨が顔を出した。
「おまっ、智くんは??」
「ちょっと、兄貴。
もう遅い時間なのでトーン抑えてくださいって」
「はぁ?」
思いっきり短気になってるのはわかってる。
後輩を目の前にみっともないとも思うが逆に風磨にならある程度素を見せても構わないと思ってる部分もあった。
「落ち着いてくださいって、親分、起きちゃいますから」
明らかにキレてる俺に冷静に対応してくる風磨。
こういう奴だから可愛がってるのはまぁ事実なわけで…。
「ごめん…。
智くんのところに案内してくれる?」
俺も素直に頭を下げた。
「こっちです」
通されたリビングのソファーに猫みたいに体を丸めて眠る愛しい人がいた。
そっと近寄り肩を叩いて起こす。
「智くん、起きて?家に帰ろう?」
「兄貴?
別に泊まっていってもらっても俺は…」
「いや、帰るよ。お前だって明日。仕事あるだろ?」
「まぁ…」
「悪いけど、タクシー呼んでもらっていい?」
「…わかりました、呼びます」
風磨に呼んでもらったタクシーに半分寝ている智くんを半ば無理やり乗せる。
「風磨、ありがとう。
このお礼は後日させてね」
俺の代わりに荷物を持って来てくれた風磨に窓から礼を言ってタクシーを出してもらった。