第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
釜石での取材を終えてホクホクで東京へ戻る新幹線の中。
智くんへのお土産も無事に手配したし、かえって智くんと甘い時間を過ごそうと思ってた俺。
マナーモードにしてたスマホが震えて光る画面には弟分の名前。
いつもならメールやLINEなのに電話というのが引っかかって、スマホを掴むとデッキに移動した。
「もしもし?どうした?風磨」
『兄貴、すいません、いま平気ですか?』
「うん、いいけど…新幹線だから」
途中で切れるかもってことを暗に伝えながら通話を続ける。
『新幹線?兄貴、今どこにいるんですか?』
「え?釜石からの帰りだけど…」
『こっち、何時に着きますか?ついたら家に来てもらえませんか?』
「は?なに?なにがあったの?」
『ふーちゃん?だれにでんわしてるの?
ほら、もっとのむよ』
受話器から聞こえてくる愛しい人の声。
「ちょ、風磨!なんで智くんがそこにいるんだよ!」
ありえないシチュエーションに血が上る。
別に風磨と呑むことがありえないわけじゃない。
でもどんなときでも必ず誰と一緒か連絡をくれる智くんが俺に内緒で後輩と飲んでるってことについカッとなった。