第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
「…あの、親分…流石にそろそろ呑むの止めたほうがいいんじゃないですか?」
「ふーちゃんまでそんなこというの?
いーの、まだぜんぜんよってないから」
自分で言いながら酔っ払いのたわごとだなぁって思うけど…。
「今日、兄貴は?
俺と飲んでること知ってるんですか?」
「しょーくん?しらないよ。
きょうもあのだえんけいのたま、おいかけてでかけちゃったもん!」
「『もん』って…
親分、そろそろ帰ったほうが良いんじゃないですか?
明日仕事は?」
「しごと?うーん、どうだったっけ?
なに?ふーちゃん、かえりたいのぉ?
いいよぉ、かえっても…」
「いや、流石に親分置いて帰れないですよ」
「じゃ、ふーちゃんちにいく!」
「はい?今、なんと?」
「だからふーちゃんちにいくの!
きまり!いくよ!」
今日はマンションにも家にも帰りたくないんだよ…。
だから…この際、どこでも良かったんだ。
強気に出た僕に風磨は結局付き合ってくれた。
今思うとホント申し訳ないけど…正直、あの日は本当に助かったんだ。