第46章 バイカラーサファイアの夜 ーリクエストシリーズー
「え?翔くん?
今日は休みって言ってなかった?」
「ごめん、急遽取材許可が降りたから釜石に行ってくる!」
それだけいうといつものトートバッグにネクタイを突っ込み足早に出ていく。
え?嘘でしょ?
今日は僕に付き合ってくれるって…言ってたじゃん。
しかもそれだってこの間スケジューリング、ミスってリスケした分じゃん…。
なにそれ…。
そんなにラグビーが大事なわけ?
知ってるよ、慶応の小学生時代にやってたんでしょ。
しかも特別なジャージ着れるから慶応大好きな翔くんにとってはすごい誇りなんだよね?
そんな思い出の詰まったラグビーのスペシャルサポーターに決まったときの嬉しそうな顔を忘れた訳じゃないよ?
でもさ…それからだよ。
急にラグビーキャラつけてさ…。
取材で体験したりレポートしたり…。
本当に嬉しそうな顔してた…。
だけどさ、その嬉しそうな顔と比例して僕はラグビーが嫌いになりかけてる。
そもそもルールがわかんないし、前に一緒に試合をテレビで見たときに少し説明はしてくれたけど、目線は完全にテレビだったし…。
これが嫉妬だって言うのは自分でも理解ってるけど…どうにもならない。
ムカついたから…僕はスマホに入ってる少ない連絡先からあいつにコンタクトを取った。
もう、翔くんなんて知らないから!