第42章 under the radar
頬に柔らかな感触があって小さくチュッて音がした。
「ニノ?」
「やっぱり疲れた?知念のところの
マネがついてったんでしょ?」
「うん、そうだよ。すごく丁寧で、
色々頑張ってくれてたよ」
今日のマネージャーさん、僕よりも年下で…。
どっかのすごい大学を出てて僕なんかよりずっと頭のいい人ですごくきちっとしてた。
「だからこそ疲れたんだろ?
おじさん、案外人見知りするし、
後輩の前だからどうせ、
番宣も頑張って喋ってきたんでしょ?」
「…うん、多分、ちゃんと喋れたはず…」
「なに自信なさげなの?
もっと自信持ちなよ。大丈夫だから。
家まで多少時間あるからさ、
寝てていいよ、
機内で寝なかったんでしょ?
昨日も遅かったし…ね?」
「でもさぁ…悪くない?」
「ほんと、変なところで律儀だよね…。
いいよ、今日はそんなに
早くからの仕事じゃなかったし雑誌の撮影と
インタビューだから
そんなにきつくなかったから。
むしろ、こうやって迎えに来るってことで
余計な誘いも断れたし」
車のエンジンをかけると後部座席に手を伸ばしてブランケットを掴むとそのまま僕に渡してくれる。
家で使ってる柔軟剤の香りがして…なんかホッとしたらなんかちょっと眠くなってきた。