第40章 サプライズバレンタイン
3人に説得されて下に降りると…出かける支度をした翔くんがいた。
翔くんは何でもない顔で僕を見た。
「お、降りてきた!
どっか具合悪くない?」
ふるふると首を振ると、良かったって言いながら笑う。
「ごめん、俺そろそろ
出ないといけないからさ…。
智くん、愛してるよ?
ホワイトデーだっけ?
楽しみにしててね?
智くんもさとこちゃんも…
俺たちどっちも好きだから。
可愛く乱れるさとこちゃんも
恥じらう智くんも、どっちも大切だから…。
あんまり可愛すぎて
歯止め効かなくてごめん。
でも…またさとこちゃんにも会えたら
嬉しいよ。
んじゃ、行ってくるね?
ゆっくり休んでね?
頑張って早く帰ってくるからさ」
そう言うと翔くんは軽やかに家を出ていった。
翔くん去る間際に僕の頬に残した唇の感触…。
失いたくなくて手のひらでそっと包んだ。
「ほんと、翔ちゃんって…
おいしいところ持ってくよね…」
「油断も隙もないってああいうことを
言うんですよ」
「でもまぁ…今日は翔さん以外OFFだしね?
みんなでのんびりしよう?」
雅紀たちが口々に言いながら僕の背中を押した。