第40章 サプライズバレンタイン
「ちょっとー
なんであんなに靴散らかってんの?」
「ね?なにあの靴!
誰か女連れ込んだの!」
バタバタといういつもじゃありえない足音とともに雅紀と和がリビングに飛び込んできた。
次の瞬間、物が落ちる音がした。
「翔ちゃん!その女、誰!」
そっかぁ、そっちからだとさとこちゃんの背中しか見えないよね…。
和が射抜くような目で俺を見る。
腕の中にいたさとこちゃんがゆっくりと立ち上がって和と雅紀のもとに歩み寄る。
「和、雅紀、おかえりなさい。
お仕事お疲れ様でした」
ばふって音がしそうな勢いで二人に抱きつく。
「え?え?智??」
「うわっ、本気で可愛い!」
抱きつかれた二人があたふたしてるのが面白くて思わず吹き出したら、和にもう一度凄い目で睨まれた。
さとこちゃんを囲うように座ってとりあえず落ち着いた俺たち。
ニノが口火を切る。
「ちゃんと説明してくれませんか?
なんでそんな格好してるんですか?」
ニノの少しキツめの口調に瞳を潤ませる。
…ずるいだろ、それ。
「…あの…ね?
バレンタインじゃん?
みんなにね…チョコ、渡したかったの。
みんな写真見て嬉しそうな顔してたし…。
ちょっと…。
ちょっとだけね?
イタズラしてみたかったの…。
男の僕からもらうより女の子のほうが
いいんじゃないか…って」