第40章 サプライズバレンタイン
「ただいまー」
潤と荷物を持って玄関に入る。
俺達の声に返事がない。
智くんどうしたかな?なんて思ってるといきなり肩を叩かれる。
「ん?どうした?」
「ねぇ、これ」
潤の目線は玄関に置かれた靴に釘付けだ。
俺もそれに合わせて下を見ると…智くんの靴の横にちょこんと置かれた華奢な女物の靴…。
明らかにこの場にそぐわないそれに思考が停止する。
「え?なにこれ…」
どういうことだ?
智くんが女を連れ込んでるの?
ってかここ、秘密じゃん!
なんだこれ!
次の瞬間弾かれたように階段を駆け昇る。
リビングの入口から見えた光景に思わず立ちすくんだ。
部屋の一部だけ点いてる照明。
リビングに置かれたソファには座らず、ローテーブルに凭れるように突っ伏す華奢な背中。
その背中には栗色の長い髪が流れている。
傍らには小さな紙袋…。
立ち止まった俺の背中に潤の体温が近づく。
「翔さん?どうしたの?」
潤の声に固まった体が動き出す。
体を動かした俺に潤が息を呑むのがわかった。
そりゃそうだ…。
知らない女がリビングでうたた寝してるんだぞ?
これで驚かなかったら嘘だろ?
とにかく話を聞くためにも起こさなきゃ…。
そう思ってゆっくりと眠るその人に近づく。
瞬間、鼻を擽る香り…。
「え?智…くん?」
溢れた言葉に潤が反応する。
「リーダーなの?」
思わず顔を見合わせた。