第36章 とりっくおあ…
「いいよ…。
でもさ、全部はショーが
終わってからにしよ?
すこし飲もうか?
それに…荷物もね?
来るまで時間掛かるから、寝てな?」
「翔ちゃんは?」
「俺は大丈夫。
1日その格好で大勢の人の中に
いたんだから、思ってる以上に
疲れてると思うよ?
少し休んでさ、
俺のリクエスト、よろしくね?」
笑って言うとちょっと膨れた和。
だけど…素直に横になった和の髪を撫でてるとそんなにしないうちに寝息が聞こえて来る。
疲れたよなぁ…。
歩いた距離もだけど…変装して歩いたんだもん。
しかもバレたらパニック必至だし…。
まして和は女装だしな…。
それでも…俺達にとって貴重な時間だったと思うんだ。
部屋にあるファイル片手にルームサービスとベルデスクに連絡して、一緒に届けて貰うことにした。
すべての手配が終わって気が抜けたんだろうな…。
気がつけば俺もソファーで寝てて…。
部屋のチャイムの音で飛び起きた。
和の姿を晒したくないから、部屋の入口で荷物を受け取り、ルームサービスワゴンを預かってテーブルに並べたらそのままワゴンを返す。
念のためドアの外に札を掛けて扉を閉めた。
外からはショーがまもなくはじまると知らせるアナウンスが聞こえた。
ベッドで眠る和に声をかけるとゆっくりと起き上がる。
寝起きで」ぼーっとしてる和が可愛くてそのほっぺに小さくキスをした。