第36章 とりっくおあ…
店の外は既に夜。
オレンジ色の暖かな光がヨーロッパのような街並みを照らす。
幻想的な景色のなか、和の左手の袋を受け取ってそのまま手をつなぐ。
「一旦、ホテルに行こう?
荷物…おいて来よう?」
頷く和の手を引いて、再びホテルへの階段を上って行く。
足早にロビーをすり抜け、エレベーターで最上階に上がる。
ミッキーマウスがしゃべるエレベーターに和のテンションが上がるのが可愛くて吹き出したら、思いっきり肩を叩かれた。
「やめろや、
もっと撫でたらどうすんだよ?」
「どんなに撫でてても好きだけど?」
笑いながら言う俺に真顔で答えてきた…。
ずるいよなぁ、ほんと。
ちくしょー、覚えておけよ?
なんて思ってる間に到着して、長い廊下を歩いていけば俺たちの泊まる部屋に到着。
喜んでくれるといいけどなぁ…。
部屋に入って扉を閉めた瞬間、和のため息のような声が聞こえた。
「ぅわーーーすごい!
すごい!!すごーーい!!!」
飛び跳ねんばかりに喜ぶ和。
「気に入ってくれたみたいで良かった」
思わず出た言葉に和が抱きついてきた。
「翔ちゃん!翔ちゃん!
凄いよ!ありがとう!
マジでありがとう」
部屋の大きな窓からディズニーシーが一望できる部屋。
智くんがバルコニー付きと迷ったけどさすがにダブルはまずいからツインの部屋にしたって言ってた…。
この眺めならバルコニーが無くても十分だと思った。