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Side by Side  【気象系BL小説】

第36章 とりっくおあ…




思わず舌打ちした俺の頬を温かいものが包んだ…と思ったら次の瞬間、思いっきり抓られた。


「もう、そんな顔しないの!

 でも…追っ払ってくれてありがと」


上目遣いでそう言ってくる和はマジで可愛かった。


「翔ちゃん…あーんして?」


「へ?」


言われるがままに口を開けると口に甘いものが放り込まれた。

いつのまにか、ダッフィのバケツを持っている和。


「ポップコーン、美味しいでしょ?」


言いながら和もポップコーンを口にする。

俺もバケツからポップコーンを取り出し、和の口に放り込む。


「うん、旨いな」


軽く触れた和の唇はチョコレートの味がした。


そのまま二人で手を繋いで歩く。

堂々としてるほうが逆に目立たないみたいで…。

大きい声で話すのはさすがに控えたけど思ったよりのびのびと過ごしてる。

専用の入り口で予約をしていることを伝え、ハンドスタンプを押してもらって中に入った。


「こっち」


和に向かって手を伸ばすと和の手がそっと触れる。

その手をギュッと握りしめて、恋人つなぎで階段を上る。

隣を家族連れが通っても手を離す必要もない…。

変装のおかげ。

でも少しだけ…切なかった。


「翔?」


小声で和が俺の名前を呼ぶ。


「ん?」


「ううん、なんでもない」


繋いだ手をギュッと握る和。

多分…同じことを考えたんだよな…。






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