第36章 とりっくおあ…
「え?水曜日?なに…それ」
目の前で続く大宮劇場を見ながら、潤の言葉に意識を向けた。
「だーかーら…ディズニーデート。
…ニノと行くんでしょ?
翔ちゃん」
さらにかぶせるように言う雅紀の言葉に驚いた。
いつの間にそんな事になってるんだ?
「え?
ディズニーデートって…」
「さっきさ、
こっちの現場に大野さんが突然来て
どうしたのかと思ったら、
ポイントだっけ?
それの話されたんだよ」
「俺たちは別にさ、
絶対に行きたいとかないし…。
ニノちゃんと翔ちゃんが
楽しめるなら全然問題ないから、
大ちゃんにはそう答えたよ?」
「そしたらさ、大野さんダッシュで
現場から出てってさ?
なんか嬉しそうな顔で戻ってきて…。
『全部、準備できたよ!
翔ちゃんとニノに
デートしてもらおう?』って」
「さすがにそのまま行ったら
翔ちゃんとニノちゃんばれちゃうし、
そうしたら楽しめないじゃん?
だからね?変装して行ってね?」
雅紀と潤がいたずらっぽい顔で俺を見る。
「変装?」
思ってもいない単語が出てきたので思わずオウム返ししてしまった。
「そう、変装っていうか仮装?」
潤が楽しそうに言う。
「仮装ってこの時期は
ダメなんじゃないの?」
確か【全身仮装日】なるものがあったはずだ…。