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Side by Side  【気象系BL小説】

第34章 満月




今回の撮影が終わって、東京に戻る途中に先輩たちのことを聞いた。


言葉は出なかった…。


「翔ちゃん…大丈夫かな?」


思わず漏れた一言にマネが「櫻井さんなら大丈夫でしょ」と簡単に返してくる。


翔ちゃん…。

なんでこのタイミングなんだよ…。

世間の声がまた煩くなる…。


翔ちゃん…。

向こうにいる事務所の他の面々と笑ってて。

どうか、取材に集中して…。

こんなことで翔ちゃんの四年を無駄にしないで…。

知ってるから…。

アスリートとは違うけど翔ちゃん、ずっと努力してきたんだから…。


声が聞きたい…。

日本の真裏のブラジル、

この時間は取材に飛び回ってる。
だからそれを邪魔できない。

日本の昼間は翔ちゃんの貴重な睡眠時間だから…。

これが離れるって事なんだね?




仕事が終わって、からっぽの冷蔵庫に仕方なく財布を持ってコンビニに行く。

芸能人の多いエリア。
コンビニですら上手いことスルーしてくれる。

適当に買い物して外に出たら…。


満月が見えた。

翔ちゃんが旅立った日は上弦の月だった。


時間が…流れているのを感じた。

いま、ブラジルには灼熱の太陽が輝いてるだろう。

スマホで写真を撮ってメールする。

『月が…綺麗だよ?
 離れてても同じ月を見よう?』


これからも同じ方向を見て歩いていこうね?

小さな祈りを込めて紙飛行機マークをタップする。


空には本当に綺麗な月が浮かんでいた。



【END】
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